障害年金 安倍政権が進める支給停止
2018年6月2日お知らせ
日本年金機構が障害基礎年金の受給者約1000人余りに対し、障害の程度が軽いと判断して支給打ち切りを検討しているとの報道を受け、厚生労働省に来てもらい説明を受けた。20歳前から障害がある成人1010人に、特例的に1年間の受け取り継続を認めつつ、今年度中に改めて支給の可否を審査するとの通知を送ったとのこと。さらに、20歳以降に障害を負った受給者のうち約2900人が、昨年4月から1年間に支給を打ち切られていた。
厚生労働省は、都道府県に任せていた支給認定を中央に一元化し、ばらばらだった支給認定の判断を一元化したためと説明した。公平を期すためという理由は、一見正しく見える。しかし、障害者の98%が年収200万円以下で生活しているとの調査もある(きょうされん調査2015年7月~16年2月)。障害年金がなければ、多くの障害者は到底生活できない。認定の判断を統一するにしても、一番ゆるい判断に統一し、支給停止を伴わず、より多くの方が受給できるようにすべきだ。
私は、以前この問題を予算委員会の分科会で取り上げた(2015年)。障害年金の減額あるいは支給停止の割合が安倍政権になり増えた、平成二十二年度の平均二・三%から二十五年度の平均三・七%になり六割増となったデータについて正したのだ。「一部の県(八県)のデータであり全国ではない」「日本年金機構に対して障害年金の認定を厳しくするといった指導はしていない」との答弁だった。今回、改めて支給停止の推移について全国データを求めたが、ないとの回答。公表できない理由があるのだろうか。引続き、公表を求める。
支給者の7割を占める精神・知的障害者については「(書面では)一律に判断できない」(担当者)とのことで、今回対象外のようだ。しかし、精神障害者については、地域差を解消するため、認定を厳しい基準で統一するガイドラインが定められた経緯がある(2016)。支給が打ち切られないよう、すでに支給を受けていた方には、経過措置が設けられているが、これも注視しておかねばならない。
安倍政権になり、明らかに障害年金の支給が厳しくなった。財政が厳しいため支給を抑えようということだろうが、障害年金の支給総額は約1兆8400万円、受給者数は約189万人(国民年金、平成29年3月末)だ。そのうち数千人を不支給とすることに、どれだけの意味があるのか。
政府は、「人づくり革命」として 数兆円を投資するとしている。成長市場主義ではなく、人に「優しい」投資も考えるべきだ。これまで緩やかに認定されてきた障害年金。社会全体として余裕を失っているのではないか。