1. 政府は温暖化対策に真剣に取り組むべき

政府は温暖化対策に真剣に取り組むべき

1 菅総理は国連総会演説で気候変動問題に触れず

 菅総理の国連総会での一般討論演説は、「安全運転」だったようだ(読売新聞27日)。「保健衛生や経済開発の分野における日本のリーダーシップを、菅氏の外交政策の優先事項として強調する非常に良い機会となった」と評価される一方「気候変動問題や環境についての直接の言及が省かれたことは、その問題が新政権の優先事項ではないという示唆にもつながり、日本の立場を示す機会も逃した」との指摘がある(同紙)。確かに、気候変動や環境問題は菅内閣の「基本指針」(16日閣議決定)に含まれていない。

 

2 温暖化対策に消極的な日本

 

 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は、国連総会の同演説で「CO2の排出量が30年までにピークを迎え、60年より前に実質ゼロを実現するよう努力する」と主張。EUのフォンデアライエン欧州委員長も16日のEU一般教書演説で、2030年に域内の温暖化ガスの排出量を、従来の40%減から引き上げ、1990年比で少なくとも55%減らすと表明した。

 パリ協定は、温暖化による危機的な影響を防ぐため、産業革命前からの気温上昇を2度よりかなり低く、できれば1.5度に抑えることを目標としている。そのため今世紀後半に世界全体の温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることをうたう。2030年排出が多くなれば2030年以降にオーバーシュートする可能性が高いとされている。

 世界第5位の温暖化ガス排出国である我が国は、2030年度に2013年度比▲26.0%(2005年度比▲25.4%)の削減を目標に掲げているが、1990年比ではわずか18%の削減に過ぎない。

 

3 再生可能エネルギーを増やすべき

 

 トランプ大統領は「気候はすぐに涼しくなる。科学がわかっているとは思えない」などと発言しておりパリ協定を離脱したが、バイデン氏は2兆ドルを投資して再エネ拡大やインフラの脱炭素化を進め、50年までに実質排出ゼロを目指すことを掲げている。バイデン氏が当選すれば、日本だけが取り残される可能性がある。我が国ももっと真剣に温暖化対策に取り組むべきだ。

 カリフォルニア州は、35年までに、新車販売される全乗用車と、SUVなどの小型トラックについて、排ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)とすることを義務づけた(23日)。菅総理も、こうした大胆な政策を検討してはどうか。

 一番容易なのは、再生可能エネルギーの比率をあげることだ。イタリア、ドイツ、イギリス、スペインにおいては自然エネルギーの割合が40%前後にまで高まっているし、デンマークでは84%だ(2019年)。2030年度の日本政府目標では、再生可能エネルギーの比率は22〜24%程度とされている。本年の上半期ではコロナで電力需要が減ったため、既に23.1%(本年上半期)に達しているとの調査もある。

 2030年度目標では、原子力発電が20〜22%程度となっているが、現在6%程度でありこれを増やすのは現実的ではない。現在、7割を超える化石燃料による発電を再生可能エネルギーに置き換えていくことは他国の例をみても十分可能だ。

 毎年続く、巨大台風や豪雨。国民のいのちと暮らしを守るため、国際社会をリードする温暖化対策を実行すべきだ。


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