1. 憲法改正への思い
憲法改正への思い

憲法改正への思い

憲法改正について

憲法改正への思い
国会では、憲法改正の議論が行われています。私は、憲法改正を急ぐ必要はないと考えています。日本国憲法が支障になるような事態は今のところないからです。

しかし、政治家・政党が、自らの考える憲法の姿を示しておくことは必要です。その政党・政治家がどのような国のかたちを考えているのか知らないと、政権をまかせるかどうかの判断ができないのではないでしょうか。そこで、私も、衆議院憲法審査会の役員として積極的に発言してきました。

今回は、昨年秋からこれまでの議論をご紹介します。

1. 憲法の改正限界について

改正には限界があると言われています。「憲法改正」とは、現行の「日本国憲法」を前提として、「国民主義」「基本的人権の尊重」「平和主義」の原則を守りながら、一部改めるということです。衆議院の憲法審査会で我が等と与党が一致している点です。

議論がかみ合わないのは、自民党が改憲のベースとする「日本国憲法改正草案」がこの改正限界を超えているのではないか、という点です。例えば、「表現の自由」について、米国、フランスの憲法には、基本的人権に制限を加えない、特に信教の自由、言論の自由や表現の自由のような「こころの自由」には一切制限を規定しないという常識があります。我が国も同様で、「ヘイトスピーチ」「オウム」など人権が衝突する場合は、憲法13条に委ねることで調整されてきました。

ところが、自民党案は、21条2項を設け表現の自由に制限を加えています。「(21条は)オウム真理教に破壊活動防止法が適用できなかった反省を踏まえた」、「公益及び公の秩序を害すること」という表現が「制限を厳しく限定している」と述べ「(草案の)すべての条文が改正限界を超えていない」と反論していますが、明らかに改正の限界を超えています。この改正限界の議論は平行線のまま棚上げになり、具体的な改正箇所の議論に入っています。

2. 災害時の議員任期延長に賛成

日本国憲法は、国会議員の任期を、衆議院4年(解散の場合はその時点まで)(憲法45条)、衆議院6年(同46条)と定めていますが、任期満了や解散後、大災害などで選挙ができなくなった場合、どのようにするかは定めていません。そこで「緊急時における国会議員の任期延長」が改正対象として議論をされています。

私は、審査会の場でも述べましたが、災害時の特例的な「任期延長」には賛成です。参議院の緊急集会(54条)の規定を使えば問題ないとの意見もありますが、この規定は衆議院の長期間の不在を想定してのものではありません。災害復旧復興事業を、地元の議員不在のまますすめれば、地域の意向が十分に反映されなくなります。選挙ができるようになるまでの間特例的な任期延長を認めるべきです。ただし、お手盛りにならないよう、裁判所の関与など検討すべき事項はたくさんあります。

3. 緊急事態条項には反対

ただし、自民党が主張するように、特例的任期延長を「国家緊急権」の問題として捉え、政府に権限を集中するような緊急事態条項の一部として、憲法に規定することには反対です。緊急事態条項とは切り離すべきです。

自民党「憲法改正草案」の緊急事態条項は、政府が、自ら緊急事態を設定すれば、法律によらず政令(緊急政令)で国民の権利を制限し、義務を課すことができ、国会の議決なく予算を使えるように規定されています。また、緊急事態の範囲も「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める」とあり、非常に広いものです。ワイマール共和国時代、緊急事態に「財政難」などあらゆることを含ませ緊急事態として乱発した結果、ナチス独裁につながったと言われていることからも、こうした独裁的な権限を政府に付与すべきではありません。

4. 改正は統治機構に関わる部分を議論すべき

これまでの与党の議論の進め方は、とにかく改正しようという、お試し改憲の色合いが強く出ています。しかも、かなり問題がある議論です。

本質的な議論をすべきではないでしょうか?

改正の限界を踏まえ、議論するとすれば、統治機構の部分です。制定後70年の運用を経て、様々な課題が明らかになってきています。違憲立法審査権のあり方、地方分権の推進、衆議院の位置づけ、緊急時における国会議員の任期延長、解散権の乱用などですが、こうした部分の改正を議論し、民意を反映しつつ三権分立が機能するよう国のかたちを再検討すべきです。

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