会議乱立で前に進まない改革
2018年6月18日お知らせ
経済政策の基本方針を定める「骨太の方針」、「未来投資戦略」「規制改革実施計画」「まち・ひと・しごと創生基本方針」など4方針が閣議決定されました(6月15日)。女性や外国人など働き手を増やす、規制改革や技術革新で生産性をあげる、ことで成長率を底上げし、財政健全化も達成するという方向性は間違っていません。では、なぜ日本経済は低迷したままなのでしょうか。会議を乱立させ、仕事をしているふりをしているだけで何も決められないからです。経済財政諮問会議で集中的に改革を議論すべきです。
㈠ 女性や外国人にもっと働いてもらうことで、労働力不足を補うことには賛成です。問題は政策の中身で、待機児童解消のため32万人分の受け皿を作ることになっていますが本当に足りるのか。保育士不足をどうするのかも明確でありません。無償化により待機児童が増える可能性もあります。女性に働いてもらうためには、まず、待機児童ゼロのための政策を優先すべきです
外国人労働者の受入れについて新たな仕組みを設けることになりましたが、「移民政策はとらない」という建前は続きます。場当たり的な受け入れはもうやめて、このブログでも書きましたが、どこまで外国人を受け入れるのか、どのような人材を、人口の何%まで受け入れるのか、正面から国民に問うべきです。正面から「移民」の受入れを認めた上で、「移民」の人権を守る「外国人労働者法」のような基本法を作ってはどうでしょうか。
㈡規制改革やIT・AIの活用で生産性を上げる。これも正しい方向だと思います。規制改革の目玉は、インターネットによる放送コンテンツの配信基盤の整備。「放送改革」と大騒ぎしましたが、具体的な内容はほとんど書かれませんでした(失敗に終わった放送法4条撤廃〜安倍総理の意図は?)。IT/AIの活用も、小学校でのプログラミング教育など小粒のものばかり。デジタルガバメントも10年以上いわれ続けていますが一向に進みません。エストニアのように、選挙のネット投票を認めたり、あらゆる行政への申請を自宅のパソコンからできるようにする改革を打ち出すべきです。全体的に踏み込み不足です。
㈢私が最も問題と考えるのは、財政の健全化です。目標を2025年に5年先送りにしましたが、3%という高い成長率を前提としており、そもそも達成が危ぶまれます。「骨太」が成功して成長率があがるということなのですが、この内容では、到底無理です。さらに、不安なのはトランプです。「米国とは〜双方の利益となるよう貿易や投資をさらに拡大させる」となっていますが、トランプ大統領がそれほど親切とは思えません。自動車関税が10倍に引き上がると経済は大打撃を受けます。EUや中国とともに戦うべきです。
2024年には50歳以上が人口の半数を占め、2025年には団塊の世代が75歳になります。高齢化、少子化を前に、会議を立ち上げただけの、やったふりでは済まなくなっています。
経済財政諮問会議で集中的に「骨太」の改革を進めるべきです。