移民国家になる覚悟
2018年11月3日お知らせ
衆議院予算委員会で、昨日閣議決定された「出入国管理及び難民認定法」について総理に質問した。政府は、「移民政策」について「例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」としてきたが、日本は「家族ごと期限を設けることなく」外国人を受入れる在留資格はない。つまり、現在日本に、「移民」はひとりもいないし、今回の法案で増える外国人在留者も、「移民」ではないということになる。他国に例のない「移民」を認めないための恣意的な定義だ。「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人」(国連の定義)にあてはめれば、すでに、世界第4位の「移民」受入れ国だ。これらの点を指摘したが、安倍総理は、絶対に「移民」と認めようとしなかった。
私が問題だと考えるのは、「移民」ではないということにして、今回の法案が抱える問題点を積極的に国民に知らせようとしない点だ。
安倍政権になって、外国人労働者は倍増の127万人に達し、既に様々な問題が起きている。私が質問で指摘した健康保険の不正利用、技能実習生の失踪など負の問題。また、年金などの社会保障費の負担、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の急増など。
今回の受入れ拡大でこうした問題も拡大する。にもかかわらず、「移民」ではないから、受入れ人数も未だ示さなければ、受入れの上限も設けようとしない。
さらに、今回の制度で、永住資格を申請できる10年以上の在留者が増えることになり、また日本人と結婚して永住資格を得るケースも増え、「家族ごと期限の定めなく」日本で生活する外国人は確実に増える。安倍総理の嫌う「移民政策」につながるのだ。
安倍総理は、私の質問に対し「いわゆる単純労働者は受け入れない」「移民ではない」「なし崩し的に永住者は増えない」と繰り返し答弁した。現実には、安倍総理が望むと望まざるにかかわらず、今回の法案は「移民受入れ政策」への大きな転換だ。
労働力人口の減少により経済が回らなくなってきているため、私も外国人の受入は必要と考える。しかし、韓国が行っているように、まず自国民の採用努力をさせ、なお、人手が足りない場合に限り、人数の上限を設けて受け入れるべきだ。法案の修正を求めて行きたい。
安倍総理は、逃げるのではなく社会保障費を負担し、教育費を負担し、外国人と「共生」していく覚悟を国民に迫るべきではないか。